~コンサルタントに求められる質問力~
コンサルタントの仕事はクライアントの抱えている問題を解決する事です。
問題解決に当たって“質問力”が求められます。
質問には慣れるまでは型にはまった表現(テンプレート)を覚えておくと便利です。
コンサルタントが質問を使用する場面別にテンプレートを下記にリストアップしました。
「コンサルタントの質問テンプレート6場面」
(1)場の雰囲気を作る質問
(2)「本題に入る質問」
(3)問題を明らかにする質問
(4)実現したい未来を明らかにする質問
(5)実現方法を明らかにする質問
(6)解決案に対する興味を探り、問題解決の実現に向けてコミットしてもらう質問
(1)場の雰囲気を作る質問
いきなり「貴社の抱えている問題は何ですか」
と質問してもよほど信頼関係が有れば別ですが、普通は本音では応えてくれません。
そこでアイスブレーキングとして
先ずは場の雰囲気を作る質問が求められます。
私が新入社員時代に研修で“場を作る話法”として教えていただいた
「木戸に立てかけし衣食住」は50年経った今でも忘れません。
初対面のクライアントとのコミュニケーションとし活用しています。
木戸に立てかけし衣食住」とは季節、道楽、ニュース、旅、天気、
家族、健康、仕事、衣料、食、住居の頭文字をとったものです。
①「今日は幾分涼しいですね」
②「お仕事は順調ですか?」
③「お顔色がとっても良いですは何か始めました?」
誰でもが当たり障りなく関心を持つテーマですので覚えておくと便利です。
気を付けることは経営者の中には特に道楽(趣味)の話になると夢中になるため
本題の時間が無く成ってしまわないように気を付ける必要が有ります。
また質問ではないのですが、
相手の事務所やお宅に伺った際には何か一つ誉めるように心掛けましょう。
応接室に通されて絵画が飾ってあった場合
「素敵な絵ですね」
などとさりげない一言が相手との距離を縮めてくれます。
それともう一つ
“初対面の経営者と数分で親しく成れる裏ワザ”が有ります。
本当に使えるテクニックですので覚えておいてください。
それは“子供の時の話”をする事です。
子供時代の話をすると遠い昔から知人で有ったような錯覚に
陥るからかもしれません。
同世代の場合は簡単です。
そうでない場合は若干準備がいりますが、相手に昔話を振れば良いだけです。
場の雰囲気が出来たら本題に入る質問が必要ですね。
次の様な質問で本題に入ります。
(2)「本題に入る質問」
④「それでは本題に入りたいのですが、今日のご相談内容は何でしょうか?」
⑤「お答えしたくない事ははっきりと仰っていただいて構いませんが」
⑥「適切な解決策を提案したいので、現状を知る必要が有ります。」
⑦「その為に色々と質問させていただきますがよろしいでしょうか」
⑧「○○の状態を○○にしたい」という表現でまとめるとどうなりますか?
(3)問題を明らかにする質問
⑨「それでは問題を詳しく聞かせてください」
⑩「と言いますと現状はどんな状態ですか?」(具体化)
⑪「具体的な内容としては?」(掘り下げ)
⑫「問題はそれだけですか?」(掘り下げ)
⑬「共通する課題は何だと思いますか?」(掘り下げ)
⑭「もう少し分かり易く言うとどういう事でしょう」(掘り下げ)
⑮「表面的には○○ですが本当の問題は○○と言えませんか?」(掘り下げ)
⑯「その問題が続くとどのような状況になりますか?」(掘り下げ)
⑰「その問題が起こったきっかけは何でしょう?」(原因の追及)
⑱「その状況はいつからですか?」(原因の追及)
⑲「何故そのような事になっているのか原因は何だと思われますか?」(原因の追及)
⑳「悪さ加減を数字で言えますか?」(出来るだけ数値化)
(4)実現したい未来を明らかにする質問
㉑「その問題が解決すると、どうなるのでしょうか?
㉒「では、その悪い状況がどうなれば理想なのですか?」
㉒「先ずはどういう状態にしたいですか?」
㉓「では具体的に1年後にどうなっていたいのですか?」
㉔「そうなると会社はどうなるのですか?」
いかがですか?
以上(4)の質問はクライアント自ら
問題解決後の明るい未来を語ってもらう質問です。
自ら語ってもらう事がとても重要なのです。
自ら語る事により目標に対し積極的に関わるようになるからです。
この質問は、最初は慣れないかもしれませんが、質問を繰り返すうちに
自然と口に出るようになります。
(5)実現方法を明らかにする質問
㉕「問題解決の為に何かおやりになっていますか?」
㉖「それは上手く行っていますか?」(上手く行っていない事を承知で聞く)
㉗「なぜその方法を選んだのですか?」
㉘「それを選んだのは何かきっかけが有ったのですか?」
㉙「この方法で無くても問題が解決すれば良いですね?」
㉚「優先順位が高い事は何ですか?」
㉛「理想の状況を実現するには、どのような事が必要だと思いますか?」
㉜「具体的には?」
㉝「たとえば?」
㉞「過去に同じような問題に遭遇したことは有りましたか?」
㉟「その時はどういう方法で解決したのですか?」
㊱「その時と現在で何が同じで、何が違いますか?」
(6)解決案に対する興味を探り、問題解決の実現に向けてコミットしてもらう質問
㊲「私ならこういう方法でやりますが、この方法は興味ありますか?」
㊳「選択肢の一つとして例えばこういう方法はいかがでしょう?」
㊴「他の業種での成功例ですが興味ありますか?」
㊵「本当にありますか?」
㊶「この方法のどこに一番興味が有りますか?」(ベネフィットを語ってもらう)
㊷「解決案を進めていくにあたって何か問題になりそうなことは有りますか?」
㊸「これをやるのにどのくらい時間が掛かると思いますか?」
㊹「これをやるのに1日どのくらい時間を割けそうですか?」
㊺「1週間でどのくらい割けますか?」
㊸「急な仕事が入り時間が取れなくなったらどうしますか?」
㊼「これを本当にやらなければならない理由は何ですか?」
㊽「上手く行ったらどうしたいですか?」
会話に詰まったり、もう少し掘り下げたいとか、解決案に対するクライアントの本音を探る為、本当にこの問題解決が必要なのか、などをさぐる有効な質問方法です。
いかがですか?
実はセールス(契約)する場合もほぼ質問することで契約に結び付けることが出来ます。
自分の商品・サービスの説明をする事よりも、クライアントの問題を何とか解決したい気持ちが有ると売り込まなくても自然と契約がまとまります。
最後に大事な事を注意しておきます。
これは本当に大事ですので決して忘れないで肝に銘じておいてくださいね。
それは
クライアントが応えている時に次の質問を考えるような事はしない事です。
相手に見抜かれ本音で応えてくれなくなります。
そしてきちんと相槌を打ちながら傾聴する姿勢をを忘れないでくださいね。