「差別化」って良く言われるけど
今一つ良く判らない。”
クライアントに良く尋ねられます。
私は「差別化の方法」についてアドバイスをするにあたり、経営者に、まずは次のような質問をします。
「あなたが良く行くスーパーマーケットは、なぜ行くのですか?」
「あなたが良く行く美容院は、なぜ行くのですか?」
まずその理由を考えてみてください。
スーパーマーケットに行く理由としてあげられたのは次のものでした。
「価格が安く新鮮なものが多いから」
「自分が欲しい品物が必ずあるから」
「お惣菜がおいしいから」
「店員さんが親切で明るいから」
「家から近いから」
「むかしからの馴染みだから」
「通路が広くてゆったり買い物ができるから」
「ポイントカードがあるから」
などなど
美容院へ行く理由としては、
「むかしからの馴染みで自分の好みを知っているから」
「美容師と気が合うから」
「カットの技術が優れているから」
「営業時間が長くて店舗を閉めてからでも行けるから」
「価格もお手頃だから」があげられました。
業種によって少し異なりますが、このお客さまが「お店を選ぶ理由」こそが、店舗から見ると「差別化のポイント」となります。
これら「お店を選ぶ理由」は、大きく4点に整理できます。(4P)
(1)商品やサービス自体に関する理由 <品質・品揃え・鮮度・技術>
(2)立地を含むお店に関する理由<店舗のつくり・立地>
(3)売り方に関する理由 <商品知識・接客・お得なサービス・広告>
(4)価格に関する理由 <リーズナブル・高級>
どの理由でお店を選ぶかはお客さまによりさまざまですが、お客さまは、自分にとっての都合のよさ、すなわち「便益」(ベネフィット)でお店を選びます。
だから、これら「便益」が、お店の「価値」であり、お客さまに、「他店とくらべ、他店(競合店)以上に、これらの「価値」を提供すること」が「差別化の本質」となります。
しかしながら、お客さまの価値に対する考え方(価値観)は千差万別です。
価格を優先するお客さまもいれば、品質にこだわるお客さま、接客にこだわるお客さまもいます。
すべてのお客さまに満足していただくことはなかなか難しいことです。
そこで、このお店の経営者に、お店を経営するうえで一番大切にしていることは何か、言い換えればどうしてもゆずれない点、つまり、お店にとっての「こだわり」は何かを再確認してもらいます。
良く言われている「ストアコンセプト」ですね。
なぜならば、「商売の原点」は「自分と同じ価値観を持ったお客さまを集めること」だからです。
そしてこのこだわりが、実はお店にとっての強みになり、この強みを磨くことでより一層他店との差別化が可能となるからです。
下町にある小さな中華料理店の看板メニューは餃子ですが、一切作り置きをしないのがこのお店のこだわりです。
あらかじめ作り置きしておいたほうが効率は良いのですが、美味しい餃子を食べてもらうために、注文をいただいてから餃子の皮に具材を入れ焼き始めるのです。
昼時はこの餃子を食べに来るお客さまで満員です。 わずか10坪ほどの小さなお店だからできることです。
きもの問屋の目利きノウハウを生かし、家庭のたんすに眠っていた着物を適正値で買い取り、きれいに洗濯した着物を破格値で販売するきものリサイクルショップ。
「もっと着物を着てもらいたい」「たんすに眠っている着物を眠らせたくない」
というこだわりと着物の価値を見る眼力による差別化で成功しました。
このように、「こだわり」「自社の強み」を生かすことが、差別化につながるのです。