コンサルタント起業

Research

起業する為のリサーチは何のためにするのでしょうか?

ライバル企業との競争に打ち勝っていくためです。
ライバルがどんなことをやっているのだろう?
どんなベネフィットをどんなお客様に、どんな方法で提供しているか?
これをリサーチすることによって自分の商品やサービス作りに活かす為です。

起業しライバルに打ち勝つ為にはライバルとの差別化をしなければなりません。
後進の貴方がライバルと同じような事をしていても仕事を得にくいからです。

ライバルの差別化をする為には、自社だけが提供できるベネフィットを
あなたのターゲット顧客に提供しなければならないわけです。

そこで先ず必要となるのが自分はどのような価値を提供出来るのかと言う事を
リサーチしなければならないわけです。

自分のリサーチをする事が起業する場合の最初のステップとなります。

起業する人の中にはリサーチをやらない人も意外と多いのです。
起業で失敗する大きな原因の一つが
このリサーチをしない事によると言っても過言ではありません。
そのために時間をかけてじっくりやって欲しいと思います。

1.自分(価値・ノウハウ)のリサーチ

自分が提供できる価値(顧客ベネフィット)をリサーチする事は起業の際には重要です。

そもそも自分のノウハウを必要とする顧客が存在するのか、大変重要な問題だからです。競争相手もいないが、需要も無いという事が良くあるのです。

顧客ベネフィットとは一言でいうと「顧客の抱えている問題(困りごとや欲望)をあなたの知恵やノウハウで解決する」ことです。

例えば、

・顧客を競合店に奪われ売上が急減している

・従業員が入社してもすぐ辞めてしまう

・月末になるといつも資金繰りに苦労する

起業を成功するためにはこうした

「顧客の困っている事を解決したり、叶えたい欲求を満たす事」が必要です。

起業の場合はまだ実績が有りませんので、自分は“どんな困った”を解決する事が出来るのか、どんなノウハウを持っているのかを知る事がスタートとなります。

リサーチで顧客のニーズ(困った)をくみ取り、サービスを提供する方法が一般的です。
顧客のニーズにフォーカスする考え方でマーケット・インと言います。

しかし起業の場合、自分が出来る事、自分が得意な事、自分が好きな事、
を顧客に提供する方法をお勧めします。

この方法をプロダクトアウトといいます。

なぜならば壁にぶつかっても自分が好きな事、自分の出来る事は挫折しにくいからです。

起業して順風万般に進んでいく場合は少ないものです。

もう一つの理由は顧客のニーズを基にサービスをつくるため、
顧客の予想の範囲でしか商品やサービスが作れず、独自性の有る斬新な商品・サービスは
生まれにくいという点があります。

一見両者は相反しているように聞こえますが
両者ともに顧客のニーズを狙って商品を作ります。

商品開発の原点である顧客ニーズ(困った)を満たすことを念頭に置き、
貴方の好きな事や得意な事、今まで経験してきた事、今まで誉められた事で
顧客ニーズを満たすことが出来ればマーケット・インでプロダクト・アウトの良い所だけを取り入れたハイブリットのアプローチが出来る事となります。

【リサーチの方法】

◆好きでたまらない事で「顧客の困った」を解決出来る事を考えてみてください。

 「やっていても時間が過ぎる事を忘れてしまう事」

「たとえお金をもらえなくてもやりたい事」

「食事をするのも忘れてしまうほど好きな事」

起業当初は壁にぶつかることも多いのですが好きなことで有れば一生懸命になるし、
それに関して勉強したり工夫したりする事により壁を乗り越えられるからです。

このアプローチは出来れば一番強力な商品・サービスが生まれます。

「好きこそ物の上手なれ」です。

どんなことであっても、人は好きなものに対しては熱心に努力するので、
上達が早いということわざです。

◆今まで経験してきた事で「顧客の困った」を解決出来る事を考えてみてください。

 「会社で経理の仕事を20年間やってきた」

「公的なものでは無いが資格が有る」

「金融機関で融資の仕事を5年ほどやった」

企業に勤めている場合、入社してから現在まで
時系列に経験した事を書き出してみてください。
(所属部署の担当業務、身に付けた専門知識、技術、スキル、ノウハウ、資格)

書き出したらその経験をカテゴリー別に分類してみてください。

たくさん書かれたカテゴリーが最も経験豊富な事が判ります。

◆ほめられたり、喜ばれられたりしたことで
「顧客の困った」を解決出来る事を考えてみてください。

 「スピーチが上手だと誉められたことが有る」

「人の悩みを聞いて上げて喜ばれた」

「電気製品の修理をして喜ばれた」

ハイブリットのアプローチでは有りませんが私の経験をシェアします。
20年以上前のウインドウズ95の時代です。

ある商店街の会長の事務所にお邪魔した時に机の引き出しに
たくさんのマウスが入っているのを発見したのです。

「会長、なんでこんなにたくさんのマウスが有るのですか」と聞くと
「マウスの反応が悪く直ぐ動きがおかしくなるのでそのたびに買ってしまうのだよ」
との返答でした。

私「マウス掃除しています?」

マウスの裏を見せながら、
会長「この丸いボールを掃除しているんだけどね~」

当時のマウスは裏蓋を開けるとボールの下にボールの動きで反応する部品が有り
そこにほこりが溜まっていると反応が悪くなる様になっていました。

私は部品の金属部分にこびりついていたほこりを綿棒で綺麗に取り除きました。
結果マウスの動きはとても反応の良いものとなったのです。

会長は私のやり方で次から次とマウスを掃除し大変な喜びようでした。
掃除の仕方をアドバイスしただけで私はこの商店街では
「ITの先生」と呼ばれるように成ってしまいました。

ホームページの活用や作り方など次から次と
ITがらみの仕事が舞い込むように成ってしまいました。
サラリーマン時代にはITとはほとんど縁のない仕事でしたので
必死になってITの知識を身に付けニーズを満たすことが出来ました。


2.ターゲット顧客のリサーチ

ビジネスとは「顧客の抱える問題」を解決する事でしたよね。
「顧客の抱える問題」とは、『困った』であり『叶えたい欲求』です。

そこで「自分の提供する価値」と「顧客の抱える問題」をマッチングさせるために
リサーチが必要になる訳です。

・見込み客が抱えている問題を考えられるだけたくさん書き出して下さい。
(不満、不便、不快、叶えたい欲求)

その中で、

・貴方が提供する価値で見込み客が解決出来る「困ったや願望」は何か?
考えられるだけたくさん書き出して下さい。

・見込み客が日頃から見ている媒体(ネット、チラシ、TV番組 新聞、雑誌など)は何か?

・見込み客がすでに活用しているライバルの商品やサービスは何か?

・見込み客の興味があり、すでにお金を使っている感心事とは何か?

・高額なお金を払ってでも解決したいと考えていることは何か?
その理由はなにか?

・貴方の価値を受けないことでの損失する事は何か?

・見込み客が感じる短期的欲求は何か?

・見込み客が使っている言葉・単語・言い回しは何か?

これらについて想像ではなく、きっちりとリサーチしてください。

【 リサーチの方法 】

リサーチをする対象は当たり前ですが、
自分の顧客となる見込み客についてのリサーチです。
見込み客のほとんどは企業です。
コンサルタントの場合、もちろん個人事業主の場合もありますがほとんどが法人です。

企業全体の動向を把握することから始めてください。
そのためには業界新聞を少なくとも1年分、ざっとで良いので目を通してください。
1面のトップ記事の見出しだけでも見ることによってその業界の動向や特徴、
経営課題がおおよそ把握できます。

この他に”業種別貸出審査事典”という、電話帳のような厚い本があります。
国会図書館などの大きな図書館に行けば閲覧できます。
その業種別にその特徴や動向、市場規模 が判ります。
業界団体などを調べることによって、さらに詳しくその業界を調べることもできます。

次に、自分のターゲット顧客をインターネットで検索して、リスト化しましょう。
例えばスーパーや小売店だとしたら、直ぐに行けるので、実際に見ることができます。
訪問しづらい企業はインターネットで検索しましょう。
後述しますがライバルのセミナーに行くこともおすすめです。

見込み客情報はライバルのセミナーやイベントに行けば必ずつかむ事が出来ます。

貴方の見込み客がスーパーであれば、スーパーのお客さんの声を調べること によって
間接的に見込み客の考えている事、悩んで いる問題。叶えたい欲望などが判ります。

Yahoo知恵袋や教えてGooなどで、お客様 の声で不満を調べるともできます。

インターネット記事や情報は吟味しないと不正確な情報も
少なくないので気を付けましょう。

出来ればあなたの築いた人脈をたどり情報を得ることが望まれます。

 3.ライバルのリサーチ

最後が、ライバルのリサーチです。
ライバルのリサーチはとても大事です。

ライバルとの差別化を図り競争に勝たなければならないからです。
先ず、自社のターゲット顧客や戦略が似ている企業をリストアップします。

ライバルのリストアップ基準例を以下に記します。

・同様なベネフィットを提供しているコンサルタント

・計画している価格帯が同程度

・マーケティング戦略・販売手法が似ているコンサルタント

調査対象が固まったら、調査内容を検討します。

最も重要な項目は
ライバルが提供しているベネフィットは何か?です。
言い換えれば収益商品(バック・エンド)は何か?です。

以下にリサーチ項目を記します。

・ライバルの売れている商品・サービスや価格

・その商品・サービスは売れている理由
(どんなメッセージ? どんなタイミング?)

・ライバルが提供する強みの中で自分が出来る対抗策は何か?

・ライバルのクライアントの共通点(ターケ゛ット属性)

・ライバルで起きているフラストレーション(顧客のマイナス評価)

・ライバルが提供出来ていない事の中で自分が提供できる解決策

・ライバルが出している広告先及び内容

・ライバルが行っている集客手法

・ライバルが行っている販売手法

・ライバルの集客商品(ファースト・エンド)

【 リサーチ方法 】

ライバルのメールマガジン、ホームペ ージ、ブログなどを見ることで、
ベネフィットが何であるか、どういう 方法でそれを顧客に提供してるかが判ります。

コンサルタントによってはセミナーも開催しています。
ライバルのサービスや商品を宣伝するためのフロントエンドセミナー
(宣伝も兼ねているのでほとんどが無料か5000円程度で参加できる)では
ライバルの弱みや強み、ライバルの顧客獲得方法も発見できます。

そこでは、ライバルのターゲット顧客属性が同じ場合、
自分の見込み客も必ず参加しています。
名刺交換する事で見込み客を作る事も出来ます。
見込み客は、どんな業界でもそうですが、ライバルにいます。
ですからライバルが実施している様々なイベントに行くと、
自分の見込み客のリサーチや見込み客獲得もできる訳です。

4.ターゲット顧客(食品SM)の競合店のリサーチ

ターゲット顧客の競合店もリサーチをしたほうが良い場合も有ります。

例えば自社のターゲット顧客がスーパーであれば、顔が割れていたりしますので
社長は近隣の競合店には行きづらいものです。
そこでリサーチした情報をターゲット見込み客に与えると
非常に喜んで いただいたりする場合があります。
見込み客の競合店情報などもリサーチすることが大事になります。

例えば、品揃えを見て簡単にすぐわかる方法として、
私は牛肉とお酒。 特にワインを見ます。
その品揃えを見て、その商圏の所得レベルがわかります。
お金持ちが住んでいるということです。
牛肉などの品揃えが豊富で神戸牛、米沢牛と一流ブランドが並んでいたら、
商圏の質が高いということが判ります。

他の小売業を調査する場合でも先ずスーパーに入り
調査する事は非常に意味のあることになります。

ターゲット顧客(食品SM)の商圏リサーチ

半径500 Mぐらいの商圏を歩いてください。(食品SMの一次商圏)
歩いていると、洗濯物を見て子供が多い地域なんだなぁとか、老人が多いとか、
マンションが多い地域とか、様々な事が判ります。
リサーチをする時のポイントになると 思いますので
是非半径500 M 、直径1キロを歩く事をお薦めします。
積み重ねることにより、リサーチをする眼が徐々に肥えてきますので、
ぜひ リサーチを十分やっていただきたいと思います。

5.リサーチで使えるフレームワーク

■バリューチェーン分析(価値連鎖)

一つの事業を細分化し、強み・付加価値を出している工程を分析するフレームワークです。このフレームワークにより、自社の強みや弱みを分析できます。中長期的な事業戦略やブランディング向上施策を考える際に活用してみてください。また他社分析の際にも有効です。

・自社のバリューチェーンを確認

・コスト確認

・強み/弱み分析

・競争優位性の分析を行います。

■SWOT分析
組織の強み弱み、外部環境が障害となるかどうかなどを表すフレームワークです。

内部の強み弱みだけでなく、外部の障害や機会なども含めて客観的に分析することができます。経営戦略やマーケティング戦略を考える際に有効です。

S:Strengths(強み)

W:Weaknesses(弱み)

O:Opportunities(機会)

T:Threats(脅威)

4領域に当てはめて考えていきます。

<競合を探す・競合調査・戦略策定>

競合を探す場合には、下記のフレームワークがおすすめです。

業界構造や商品分析に活用してみてください。

■ファイブフォース分析

ビジネス成功のカギを握る、5つの競争要因から業界の構造分析を行います。

構造を明らかにすることにより、自社の強み弱みを再認識し、競合と比較した際の価格戦略や商品戦略策定に役立てることができます。

・買い手の交渉力

・売り手の交渉力

・新規参入の脅威

・代替品の脅威

・競合の脅威

5脅威を洗い出していきます。

■4C分析

商品や施策が、顧客の価値につながっているかどうかを分析するフレームワークです。

顧客の立場から商品や施策を分析することにより、自社商品との機能面や特徴の違いからではなく、どの要素が顧客に受け入れられているのか?といった視点で分析することができます。

また自社商品やサービスのメリット・訴求ポイントも確認できますので、マーケディング戦略を考える際にも活用してみてください。

Customer:顧客価値

Cost:コスト(時間・金銭的・心理的負担)

Convenience:利便性・購入しやすさ

Communication:ユーザーと企業とのコミュニケーション(どのように商品を知るか)

といった4つの視点から各企業を分析していきます。

■3C分析

顧客のニーズや属性から、顧客と良好な関係を築くための戦略を考える手法です。

このフレームワークは、他社と顧客ニーズを分析した上で、自社の訴求ポイントを考えるマーケティング・広告戦略に有効です。3C分析の際や、また集めた情報を分析する際に他のフレームワークと組み合わせて行ってみてください。

顧客(Customer

競合(Competitor

自社(Company

3つの視点から分析します